教官 | 廣瀬 |
教科(講座) | 国際経済と世界金融 |
投稿者 | 10年後の君へ |
投稿日 | 2023年08月16日 |
評価 | ど仏 |
テスト | |
レポート | なし |
出席 | なし |
コメント | 沁み渡る。無論、インクが紙に、などと当然のことを言いたいのではない。数式が、概念が、理論体系が、私の心に染み入ってくるのだ。そして静かに、いや、静謐に、Foreign Exchangeへの誘惑を断ち切って仕舞う。廣瀬は唄う様に世界の金融を手に取って見せる。そう、手玉に取るが如く、手中に収めんばかりに。彼は無邪気に、マクロ経済と金融(finance)理論を修めていた。我々は邪気に満ち満ちた心にて、人生の一発逆転を狙える秘術めいた願望を、しかし破滅への片道切符たるものを、金融理論の中に見出していた、いた、そう、いた、のであるが。しかし講義を踏まえれば、それは理論的に言って、その願望としての秘術めいたものを撃ち抜く、厳然たる事実の羅列の弾丸で出来上がった、まさしく蜂の巣を眼にする。秘術などでない科学体系的理論が構成するそれらの弾丸と願望の残骸は、しかし硬質かつ異様な相貌を保ちながら、我々の心には沁み入って来るのであった。汝ら、FX文学なるものを知っているだろうか。彼らの様な無惨な、鍍金の蛮勇者達になりかけた愚者を警めるが如く、廣瀬は出来るだけ高度な、硬質な理論を展開する。そして哀れな者どもの願望(モウソウ)をこそ、粉々に砕くのだ。彼の講義で金融ワールドの複雑怪奇な諸現象を知った者は、甘え切った投資(gamble)で人生一発逆転(ハメツ)への片道切符など、破り捨てるに違いない。彼こそ、真に仏と呼ぶに相応しい。 |
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