教官 | 名乗る程の者ではない |
教科(講座) | 経済学科に進みたい人向けの説教 |
投稿者 | CHAGE&ASKA |
投稿日 | 2023年04月18日 |
評価 | 並 |
テスト | |
レポート | |
出席 | |
コメント | 経済学科に進みたい君に、アドバイス。それは非常にシンプルなものだが、人によっては実践が困難なものだ。それは、「陰謀論にハマることなかれ」というものだ。正確には、学問をポピュリズム的に見るな、ということだ。おそらく、お受験を終えて経済に興味を持ち、ネットを駆使して調べた結果(和製)MMT論者(これが陰謀論の代表例)の言論に行き着き、既に信奉している人すらいるだろう。経済学の理論なんてろくに学んでないけれど、「主流派は間違っている!」と誰かの意見に盲従している人もいよう。主流派が、一体なんの学派を指すかすら知らずに———はっきり言おう。現状、そういう人は経済学に向いていない。むしろ、学問に向いていないとすら言える。厳しいことを言うようだが、陰謀論とは不透明な世界に対する一種のアレルギー反応である。巧みな話術と虚飾のデータで彩られたお手軽な真理に飛びつく態度を捨てなければ学問を始めることはできない(そしてそれは、陰謀論にどっぷり浸かれば浸かるほど困難になろう。周囲にそう言う人がいるが、自分は真理を得たと確信して論理的に思考することを放棄してしまっている。同質的な思想を持つ集団にどっぷり浸かり、その虚飾の楽園の住み心地の良さに恍惚としている)。学問的に思考するとは、そうした「私は知っている。いや、"私だけは"知っている。」という独善的探究から脱して、学問という縛りの中に入り、他者と思考することである。そしてその他者は言うまでもなく、学問という制度に縛られた他者である。ついでに言えば、学問とは具体的に科学であり、学問という制度とは科学的探究のための諸々の制度である(別に難しいイメージではなく、一般の学者の活動を想像すれば良い、あるいは"しっかりと"、"ネットサーフィンではなく"、"文献を読んで"調べてみると良い)。我々が向き合うべきは科学的に探究される現実だ。決して、お手軽に手渡される"真理(笑)"などではない。そして「科学とはなにか?」「学問とはなにか?」そうした問いに正面から向き合いつつ学ぶと同時に様々に、かつ詳細に問う(問いがwell-definedであれば、答えは一義的である。答えが一義的でないような問いは、well-definedでない。対偶を取ることによる、当然の帰結である)態度が涵養されてくる。そうして初めて、学問的思考の第一歩を踏み出せたと言えよう。さて、しかしながら一般に言うところの「クリティカルシンキング」とは、そんなに容易ではない。なぜか。これはぜひ考えてほしいが、それは鍛え続けるべき技術だから、というのが一つの見方だ。疑いを持たず、そのくせ自分は適切に情報を取捨選択していると思い込むこと自体、クリシンから程遠い。自分の思考の傾向を見据え、自分の考えが、実のところ「自分の考えなどではない」可能性を考慮に入れるべきである(そしてそれは、筆者自身にも跳ね返る重要な思考の態度である)。よく、「大学は人生の夏休み」と言われる。先輩方も口を揃えて「勉強も大事だけど、それ以外の活動(という名の遊び)も大事!」と言う。言葉の力点を見れば一目瞭然だが、残念ながら先輩方の多くは実のところ「勉強も大事」などとはミジンコ程度にしか思っていないことも多々ある。つまり何が言いたいかと言うと、陰謀論だけでなく、先輩の説法も魔に受け過ぎず、吟味し自問自答してから自分なりに解釈すべきである。その結果、4年間を「さまーばけーしょん」にするつもりなら、別にそれはそれでいいが、本文をもう一度最初から読み直すことも同時にお勧めしておこう。 |
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